今日も、つらつらと、ゲーム。

YouTubeに投稿している動画の補足だったり、普段考えてることを書いてみたりしようと考えてます。頑張るかどうかは未定です。

【音ゲー】やっぱ「ボス曲」はかっこいい方が好き!!!【CHUNITHM Arcaea beatmaniaIIDX】

※この記事は自分が企画した「音想-onsou- 音ゲー読書感想文」にて投稿したものを本ブログに移植したものになります。私含め8人の方々による「音ゲーへの想い」を文章にしたもので、どれも面白い記事ばかりですのでぜひ立ち寄って読んでいただければ幸いです。

URLはこちらになります。

 

こんにちは、リオールです。いつもはTwitter音ゲーのことを何となくつぶやきながら、動画投稿したりたまにこうやって企画したり色々やってます。

 

さて突然ですが、みなさんにとって「ボス曲」とはなんでしょうか? 単純に超絶的に難しくクリアするのが困難なものか、それとも登場のインパクトが強すぎて忘れられないものか……。色々な考えがあるでしょう。

 

自分にとってボス曲はそのゲームのバージョンを象徴している(いた)、(雰囲気でも実際にも)手強く攻略が困難な曲」だと考えています。「そのゲームのバージョンを象徴している(いた)」という部分がポイントで、単純に「高難易度追加されましたよ」だけでは弱く、登場の仕方やジャケット・パッと見の譜面のキツさ、実際にやってみた時の難しさなど、あらゆるものが嚙み合わさって初めて「ボス曲」と言えるんじゃないかなと思います。

今回は、そんな音ゲーを15年間やり込んでいる自分の目線から「ボス曲」について喋っていきます。最後まで読んでいただければ幸いです。

 

 

1:ボス曲としてのインパクトが強かった例でも挙げてみる

最近だとセガアーケードゲーム*1『オンゲキ bright MEMORY』のラスボスに位置づけられ同ゲーム内最高難易度を誇る2曲『μ3』『Recollect Lines』が、登場のインパクトがあまりにも強く話題になってました。

何せそれぞれの解禁条件が「今バージョンに追加された最高難易度を全部理論値で取ってこい*2」「特定のキャラクター全員を最後まで育成してこい」と、「実力の最果て・課金の最果て」を詰めた者だけが到達できる極狭き門だったのです! いくらなんでも狭すぎんだろ!?

解禁条件が発覚した後は「これどうやったらできるんだよ!!??」Twitter含めネットで騒然していたのをリアルタイムで見ていました。自分自身もどうなるのか追いかけてたので、それだけワクワクしてたんですね。

 

他にも「音ゲーじゃなくもはや『理不尽弾幕避けゲー』」*3『怨撃・真』も、一度見れば「こんなん避けられるわけないだろふざけんな!!」という感想待ったなしで、前2つ比べたら話題性は少し下がりますが見た目のインパクトは100点満点の豪快さでした。

 

避けさせまいという強い意志を感じる(https://youtu.be/QfYAHyVHSt0より)

一方で、登場の演出にこだわりを見せ不動の人気を勝ち得たなと思うのが、『SOUND VOLTEX』に収録されている黒魔さんの『I』ですね。

 

宇宙を彷彿とさせるチップチューンと合わせて展開され、サビ前に画面がブラックアウトし、開けたと共に宇宙から見た太陽が地球から出てくる背景に切り替わる一瞬の演出は、一度見たら忘れられないでしょう。音ゲーで使うのは珍しいと思うのですが、本当に「美しい」です。

 

また、単純な見た目で言えばやはり『太鼓の達人』の『幽玄ノ乱』でしょう。誰もが知っているあの音楽ゲームで「なんか超高速でドドドカカカが流れてるんだが……」の「誰もが見て分かるヤバさ」という点では目に焼き付けるには十分な威力だったと思います。

これをbpm300↑でやるのだからヤバいよね (https://youtu.be/QfYAHyVHSt0より)

2:リオールさん的「ボス曲」な曲トップ3

さて、ここまでいくつか「ボス曲」について色々見てきたわけですが、ここで「リオールが思う、マジでボス曲さんじゃんカッコいい~~!! と思うものトップ3」を話していきたいと思います。もちろんやってないゲームもいくつかあるので「これもすごくいいのに!」はあるのですが、その辺はご容赦ください。

 

第3位: 混沌を越えし我らが神聖なる調律主を讃えよ  穴山大輔『CHUNITHM AIR

もうコイツが初めて出てきたのが5年前になるのですが、追加当時は「なんか最高レベルの曲2つも追加されているんだが…」と前日から嫌な予感しかなく、しかも音ゲー界では多分初めての「ボス曲チラ見せ」を実行。今までにない配置ととんでもないフリック(左右に擦って取るタイプのノーツ)のインパクトが話題を呼び、当日までざわつきが止むことはありませんでした。

 

いわゆる「ネタバレ地帯」(https://twitter.com/jyunreaist/status/1442816764446863361/photo/1より)

そして当日、蓋を開けて出てきたものは「bpm240のとにかくなんでもアリの高速物量暴力譜面」。それまでの最高難易度が1つ前のバージョンでカリスマ的存在となったボス曲『怒槌』とあった中で頭2つくらい抜きんで出て登場することとなり、当時のプレイヤーを苦しめるものとなりました。確か記憶に間違いがなければ、実装当日に最高ランクのSSS達成者はいたものの、いわゆるグッドとミスを出さない「ALL JUSTICE」はそれなりに時間がかかりました。それでも1~2週間ではありましたが、現代の「出て十数分で理論値ポン」とかインフレ具合を見ると、いかにヤバかったかが伝わってきますね。

 

自分自身はこの時のアプデ時は完全にスルーしていて、実際に触ったのは次バージョンの『STAR』に入ってからでした。解禁直後は「Sくらいならいけるやろ」と高を括ってたのですが、実際のリザルトは「AAA」。もともと高速物量譜面の苦手意識があったのですが、「えっ、マジで…??」とまぁまぁ絶望感においやられました。追いつけない手、無慈悲にも飛び続けるノーツ……本当に意味不明でした。

今ではなんとかSSくらいまでは行けるようになったのですが、それでも物量の貫禄はすごいですよね。やってるだけで汗がすごいわで疲れるけど「いい運動になるわ~」と筋トレしてるんじゃないかと錯覚を起こしてしまいます。

 

あとは当時「5000兆円欲しい!」という画像を作成し話題になったケースワベ氏がデザインした神々しいイラストがまたカリスマ感を出してるなと思います。当時キャッチーなデザインが多かった*4中で「顔面のみの神がフワフワと浮いてる」だなんてギャップがすごいじゃないですかホント。

 

タイミングといい、全てにおいて「強い」ボス曲として君臨するカリスマ感が強かったということで3位にしました。

 

第2位:Tempestissimo t-pazolite 『Arcaea』

今から2年前の2020年。先日最終章を迎えた『Arcaea』2つ前の大型アップデートパック『Black Fate』で追加された曲で、物語が大きく動いたことで注目されていました。

 

当初何も告知されていなかったのですが、いざ蓋を開けてみたら解禁条件不明の曲が1つただそこに置いてありました。「なんだこれは」とプレイヤーたちが解禁に勤しむことになるのですが、鍵となる4つのキーのうち、3つは追加楽曲で特定の条件を満たすことでアンロックできるものの、残り1つが全くの不明でした。ゲーム内でやろうにしてもヒントは意味不明の7文字のアルファベットだけ。これではお手上げです。

それで結局アンロックするための条件は、これを読んでトライしてみたい方もいるかもしれないのでここでは詳細を語りませんが、とにかく音ゲーにしてはあまりにも手が込んでいて、しかも意地悪かつとんでもなく「ヤバい」ものでした*5こんなんノーヒントで解けるわけないだろふざけんな!! って色々騒がれてましたっけ。

 

そんな当時ですが、自分はなんと配信で「全く攻略法を見ずに」なんとか頑張ろうとしていました。まぁ結局あまりにもドン詰まりしすぎたので視聴者からヒントをもらいつつ、時にはコード解読表をもらいながら必死にやって、死闘5時間の末なんとか解禁することに成功しました。*6解禁の瞬間には200人以上同時視聴されていたようで、本当に楽しかったです。

まぁ解禁の瞬間を映し忘れるという特大ミスをやらかしたわけですが、今となってはいい思い出ですね。

↓ちなみにこれが当時の配信です。

【ARCAEA】暗号推理のお時間! アノマリー解禁は果たせるか!?【ネタバレ禁止/No Spoilers】 - YouTube

 

さてそんな苦労して解禁した楽曲ですが、嵐のように突き抜ける高速bpmとトリルの暴力、同時押しと当時のプレイヤーへの挑戦状とも言える高難易度ぶりで、まさしく「トパゾライトさんらしい高速暴力譜面」として実装。また、当時の最高レベルを更新し休みなしの同時押しやなぞるノーツ「アーク」のブン回しぶりと、ボスに恥じぬカリスマさを見せつけてきました。解禁前も解禁後もインパクトが強く、これぞ「ボス曲」の理想像の1つなんじゃないかなと思います。

「苦労して手に入れる」ボス曲は幾万とありますが、ここまで巧妙かつ高難易度なものは前にも後にも出ることがないでしょう。方法の賛否はともかく、真剣に取り組んだら間違いなく印象深いものになるでしょう。インターネットで検索すれば容易に答えを見ることもできますが、もしこの文章を読んだ後でやってみたいと思われた数奇な方がいらっしゃったら、ぜひノーヒントで解いてみることをオススメします。それだけでもこの曲に対する印象がまるっと変わりますからね。

 

ちなみにこの「体験」について思うところがあるので書いていたのですが、長くなったので「補論」に回しました。

 

 1位:冥 Amuro vs Killer『beatmaniaIIDX12 HAPPY SKY

ジャケットはDDRのもの

音ゲーにおいてラスボス曲と言えば」と訊かれたら即答できるくらい、この曲にはカリスマ性があるんじゃないかと思います。現在では『冥』を超える高難易度曲が出てきて難易度としては最高峰の座を譲ることとなりましたが、それでもラスボスのオーラを保ち続けるのはすごいことだと思います。

 

この曲を不動のラスボスたしめているのは、やはり「段位認定」の影響が大きいでしょう。このゲームをよく知らない方向けに説明すると、『beatmaniaIIDX(以下「弐寺」)』には「段位認定」というモードがあり、要は指定された曲を4つ通しでプレーし、最後まで体力ゲージが無くならずに完走できれば合格というものです。

段位は7級~1級、初段~十段、中伝、そして最高難易度の皆伝とあり、『冥』は皆伝の中の4曲目、つまりトリを務めていますが、実装された当時から約17年間も動かずに構えていて、もはや「不動のラスボス」という立ち位置となりました。最高の称号を手にするにはコイツを倒さずして先に進むことは叶わない。数多のプレイヤーが挑戦しては撃墜され、ある者は諦めずに勝ち取り、ある者は挫折し引退するといった、様々なドラマを生み出してきました。

 

動くまいという強い意志を感じる(https://docs.google.com/spreadsheets/d/1FMtFNTvonCydTY8Cn4gIBoSxp22K0Z0sRqsR_LN32Ag/edit#gid=17より)

 

では段位における『冥』はどんなものか。すごく簡単に言ってしまえば「(挑戦段階では)少し難しい→簡単(逆に回復できないとマズい)→超絶的に難しい→ウイニングラン」の4部構成です。そして後半2つがキモとなります。

まず後半の前半ではbpmが半減し、表示密度が2倍に上がります。そこから少しずつスピードが上がっていき、ものすごく速い階段で元に戻ると言った加速方式ですが、微縦連が非常に多くBADハマりしゲージが無くなっていく、加速後半は挑戦段階では見える部分が少なくなり耐えるので精一杯、そしてbpmが元に戻る段階はメンタルが緊張の先を超えうまく動かせなくなる…と、難所しかありません。それだけ『冥』の加速部分は難しいと言っても過言ではないでしょう。てかこんだけ難所あって大体85%くらい押せないと*7合格できないとかムズすぎだろマジで。

 

これを超えずして皆伝にはなれない

そしてこの過酷な加速地帯を抜けたあと、5秒してゲージが安定した瞬間*8が挑戦段階ではほぼ回復地帯となりいわゆるウイニングランとなります。ニコニコ動画の皆伝挑戦動画を観たことがある方なら分かると思いますが、コメントで「皆伝おめでとう!」と言われているのはそういうことです。そこから30秒近く、勝利の美酒を味わいながら、ラストまで走り切り合格というゴールテープを切るのです。

このウイニングランは、経験した方はものすごく共感できるものになりますし、そうでない方も「そういうもんなんだ」と何となくでも分かるものになってます。応援している選手がゴール前のトラックに戻ってきた後の「最後まで頑張れ~!」と声援を送りたくなるようなものだと捉えていただければいいでしょう。

 

またそれ以外でもハード・EXハード*9においても例の加速地帯はゲージを残すのが非常に難しく、非公式難易度で現在も最高難易度のS+に認定されているほどです。とんでもなく難しい地帯を抜けたあとの快感、ラスボスの猛撃をしのぎ切ったあっとの反撃。それはまさしくゲームの基本要件とも言える「達成感を得る」という項目を達成しているのではないでしょうか。

 

ところで、弐寺の上達の過程」という別の視点で見ると、ラスボスに居続けることで「皆が語る機会を多くしている」、つまりラスボスのカリスマ感を今でも拡張し続けてるんじゃないかなと自分は思います。

 

音ゲーというジャンルは基本的にはエンディングは存在せず*10、実質エンディングと言えるものは例えばレーティングの最高位だったり、段位認定の最高段位だったりします。

それで、前者のレーティングに関しては、最高位の実装当時など「高難易度全部最高ランクを取る」状況を除けば、例えば「この曲はサボるか」「これは稼ぎ*11だからやるか」など、ある程度自由な選択をすることができます。となると、プレイヤーは無数にある選択肢から1つを取り、それで狙うことが出来るのですが、一方で選択肢が多いが故に先ほど挙げた「稼ぎ」など一部分を除き話題が共有されることはあまりありません。「それ得意なのよく分かんないんだけど」「それ出来るわけないじゃん~」など、てんでバラバラなので共通の話題が出来にくいという「欠点*12」が出てきます。

一方で、段位認定の場合はコースが固定化されているため、プレイヤーは上達の道筋が限定される状況になります。特に弐寺DDRは1つの段位にコースが1つが存在しないため、「これをやらないことには先には進めない」という「壁」が出来るわけです。RPGで言えば「倒さないと進まないボスとの戦闘」と言っていいでしょう。

更に言えば弐寺では段位が実装された当時から七段の『THE SAFARI』と皆伝の『冥』だけは共に4曲目から動いたことが一度もありません。DQ3で言えばバラモス戦とゾーマ戦、みたいなものでしょう。*13要するに「倒さなければいけない敵が、このゲームにはある」というゲームデザインになっているのです。

 

となると、当然プレイヤーはその曲を完走させたい(攻略したい)ために色々な練習を積んでいくことになります。少しでも道中をラクに押せるように練習する、『冥』の立ち回りを学ぶために座学するなど、色々あるでしょう。そしてその経験は合格した/しなかったに関わらず「皆伝を挑戦したプレイヤー共通の『経験』」として共有されていくのです。いわば、「ゲームの攻略をみんなで話し合う」というゲームで起こりやすい現象をキチンと果てせているんですよね。*14

それが17年間も続けば万単位でそれぞれのドラマが生まれてきて、そのいくつかは語り継がれ、そして共有されていく…そんなサイクルを経て『冥』は名実共に「音ゲーのラスボス曲」となっていったのではないでしょうか。少なくとも自分はそう感じます。

 

自分自身、皆伝を受けて1度合格したことのある身として言えば、この『冥』という楽曲は憎きクソ野郎であり、そして諦めずに挑戦して達成感を得させてもらった貴重な存在でもあり、色んな意味でお世話になりました。本当にこのゲームは実力を上げるのが大変で、実力も必要だし上達計画も綿密にしないとグダりやすいし(実際自分は何度か横道逸れてました)、でもそれを乗り越えたあとの「カタルシス(大げさだと思いますがマジでそんなレベルのものを得られます)」は音ゲーというゲームジャンルの中では随一だと自分は思います。

nico.ms

「達成感を生み出すという点では最高の曲」「段位システムにおける必須通過点であるゆえに語られる機会が他の曲と比べて格段に多い」、この2点が自分にとって『冥』が最高のラスボスであり、カリスマ的存在だと考えています。

 

3:今後ボス曲ってどうあって欲しいのか、個人的な要望

とまぁかなり長くなってしまいましたが、これが個人的に好きな「ボス」曲になります。やっぱり登場がドキモを抜いてきてその後もイメージが崩れないものが好きで、とにかく「カッコイイ」があるものに惹かれてるなといった感じの選択になりました。ベタベタではありますが、まぁベタでいいのですよベタで。

 

最後に今後のボス曲に欲しいなと思うものについて少しだけ語って〆ようと思います。

今まで通用していた要件の1つ「譜面の難しさ」だけではインフレしたプレイヤー達によって数日もせずにねじ伏せられてしまうのがオチでしょう。先日の『CHUNITHM』では今バージョンのラスボス曲が実装当日の昼頃にはたった4プレイでAJされてしまうツイートが流れるなど、もはや純粋な譜面勝負ではボスとしての格を演出するのは難しくなっているのではないでしょうか。

「出来ないお前が言うな」ではあるのですが、やっぱりボスは早々に倒されてしまうとメンツが立たないものです。99%の人にとっては凶悪な譜面であってもたった1人であれプレイヤーがあっさり勝ってしまっては、面目丸つぶれというものでしょう。年数が経ち改めて「ヤバさ」を共有することはありますが、「すぐ倒されてしまった」はRPGのラスボスがザコすぎてシラけてしまうくらいにはボス曲の印象が薄れてしまう要因になるかなと思います。そういった意味ではボス曲って「レイドボス」みたいなイメージなんですけど皆さんはいかがでしょうか。

 

これを解決するには最初に挙げたオンゲキのように「解禁条件を厳しくする」「特定の条件を満たした上で特殊制限の状況下でプレーする(いわゆる弐寺の「ONE MORE EXTRA STAGE)」など、そもそもの登場の仕方をインパクトあるものにする、譜面内で演出をつけボスの威光を見せていく、SNSを有効活用し「ヤバさ」を滲み出させていく、など色々あるとは思いますが、これも既に取られているものばかりで、インパクトが莫大にならないとSNSで話題になりにくいのが現状でしょう。

また、10年前と比べ音ゲータイトルは2~3倍に膨れ上がり、その分追加される曲数が増えているため、単純に出すだけでは限界になってきています。

では登場演出を派手にしていけば見てもらえるようになるかと言われればそれはNOでしょう。現時点でも大分演出が派手なのにそこから更に付け加えたらどうなるか、派手を通り越してくどい、ケバくなり逆にダサくなってくるのがオチでしょう。

 

となると、今後は曲単体のパワーによるものではなくレイドらしく「SNS」をうまく利用したボス曲が話題になりやすいんじゃないかなと思うのです。オンゲキの2曲みたく「全員が特定のプレイヤーが解禁するのを見守りながら楽しむ」DDRのような「全員が情報を共有して譜面の続きをつなげつつ完走を目指す」と言った、全ユーザーを巻き込んだパフォーマンスが欲しいなと考えています。挑戦した勇者の帰還を待つべく、皆が固唾をのんで見守る。ゲーム制作陣の無茶苦茶な要求に応えようと頑張る人たちがいるんだと。

言い方を換えれば、舞台装置にもっとこだわりを見せていいのかなと思うのです。SNSを舞台に、挑戦者という役者がボス曲という巨悪に立ち向かい、プレイヤーという観客がその行く末を見守る。一度きりの公演になりますが、やりすぎない範囲で暴れてもらいたいなとか(他人事の部分も結構あるのですが)感じるのです。もっとも、それが実力インフレの要因にもなり得るわけで、初心者置いてけぼりになるというジレンマがあるんですけどね……。

 

限界を試される時は観客でもプレイヤーでもワクワクするものです

4:おわりに

まずはここまで読んでいただきありがとうございました&お疲れ様です。この辺りで9000字を超えてるあたりいつもの自分だなと思いました(笑)

 

まとめると、書いていて自分が思ったのは、ボス曲というのは「カッコよさ」を保った上で「『(どこか1つでも要素が)難しい』を皆で共有し分かち合える」ものが理想なんじゃないかと思います。

『混沌』は圧倒的なインパクトと絶望的なまでの難易度の跳ねあがりぶりを、『Tempestissimo』は解禁の「困難さ」と難易度の跳ねあがりぶりを、そして『冥』はラスボスというカリスマ性がありました。

 

ところで、ボスというのはゲームの節目にあたって重要な立ち位置にいるものとされていますが、だからこそボス曲も「そのバージョンを象徴する、大事な曲」として扱ってほしいなと思うのです。ただ何となく追加して「はーいこれがボス曲ですよー頑張ってねー」なんていい加減な出し方をされると、少なくとも自分は悲しくなります。

とは言っても、最近は「自分が遊べないシステムはクソ」だったり「解禁が面倒すぎてダルい」など、こだわればこだわるほど現在のユーザーと乖離してしまうジレンマもあるのは感じています。大半のユーザーはやることが多すぎて忙殺され、1つのゲームに時間をかけるケースが少なくなった*15こともあり、時間がかかるものは敬遠されがちなんじゃないかなと思う節はあります。

 

そうは言っても「やっぱりボス曲は、ボス曲であってほしい」。そう思う自分がわがままなのは分かってますがどこか求めてしまってるなと感じたのでした。

 

やっぱボスへのカッコよさ、憧れってのはあって欲しいと思うんですよね

補論:音ゲー楽曲解禁と「体験」の話

音ゲーの謎解きにおいて『Tempestissimo』のように「何かを解禁するのに暗号解読といった別の『体験』をしてもらう」というのはどうなのかについて少しだけ書きたいと思います。

まず、自分としては「アリなんだけど、それをゲームと直接関係のないものにヒントとして置くのは問題がある」だと考えています。

 

例として挙げたいのは、『ポケットモンスター ルビー/サファイア』に登場する「レジ系のポケモン」です。

このゲームでは特定のポケモンに会うためにある動作をしなければいけないのですが、その動作はなんと「点字」で書かれています。また、ゲームの説明書には「ルビー/サファイアをお遊びになる前に」という紙も入っていて*16、その中に点字に関する説明があります。

そして、ゲーム内で「点だけで書かれた文字」を見かけた際に「これは点字だ、調べてみよう」と思い出し、紙を見て調べてみる、インターネットで一覧表を出すなど少しでも点字に興味を持ってもらう機会を作る」という「体験」につなげることができます。紙を捨ててしまったならともかく、当時のプレイヤーなら箱含め大事に保管していた方の方が多いのではないでしょうか。

このように、「謎」とそれを解く「鍵」の導線がキッチリと結びついた時、初めて「やってみよう」という動機になり、それが「体験」につながっていくのです。

 

翻って『Tempestissimo』の解禁については、これを通じて暗号の仕組みを学んだりと「暗号」に関する「体験」をしてもらいたいのは分かるのですが、そこまでの「導線」がほぼノーヒントであり、いわゆる「玄人」向けの高難易度謎解きになってしまったのは否めません。

また、暗号を解いただけでは意味がなく、特定のサイトに記入する動作が必要なのですが、そのサイト自体はゲーム内では一切情報がないため、存在を知る機会が得られません。

現代ではインターネットが主流となりもはや「調べないことが珍しい」という時代になり、ゲームの外でアクションを起こすという点では画期的でしたが、アクションしてもらうための「道しるべ」はゲーム内にヒントとして置いてくれるとよりよかったのではないかと思うのでした。

*1:すごく簡単に言えば「ゲーセンに置いてあるゲーム」のこと

*2:現在は大分緩和されていると聞いてます

*3:STGランカーにやらせたほどの話があったとか。ちなみに『オンゲキ』は弾幕避けながら音ゲーしないといけないゲームです。考えること多すぎィ!!

*4:その前のアプデなんかはエロゲ絵師で有名なみさくらなんこつ氏が参加したことで話題になってましたからね

*5:しかも毎日正解のパスワードが異なるという手の込みぶりようには感心してしまいます

*6:ちなみに自分の友人が同じ感じで配信やったら30分くらいで解いてました。頭よわよわだったわ俺…orz

*7:半分感覚。500ノーツのうち430~440くらいは取れないといけなかったはず

*8:加速地帯抜け直後のFAILDはまぁまぁの人が経験し得るのが怖いところですね

*9:いわゆる「ゲージが空になったら失敗、ならずに完走したら成功という感じのモード。「ライフ」と思ってくれれば分かりやすいかな

*10:正確にはゲームにおける最終目標が存在しないためひたすら高みに目指すことになる、と言った方がいいか

*11:ラクにレーティングをいただける曲のこと

*12:個人的に「ここまで話題が噛み合わないゲームジャンルってあるか?」って不思議に思うくらい感覚がバラバラである。共通化していくのは上手い人との話が多いかな

*13:ちなみにDQ8で言えばドルマゲス戦とラプソーン戦。まともにDQやったのこれくらいじゃない?ってくらいにはやってないかも。てか今の10代ってどういうRPGやってるんだろ

*14:逆に言えば先述した通り「音ゲー」というジャンルは、体格差や得意/不得意によって共通の成長ルートをたどる事が少ないという「語りにくさ」を持ち合わせるんじゃないかなと自分は考えています。個人的にはこれをマイナスの要素だと思っていますが、みなさんはどうでしょうか

*15:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000051825.htmlなど。これに音ゲーなんか加えたらもっと時間かけられなくなるという推測です

*16:https://buzzmag.jp/archives/51370